リレーエッセー 第12弾

地域力とボランティア

市役所支部 永井 秀憲 (学24P)

最近NHKの番組でも取り上げられるようになった地域力と言う言葉。 背景には、地域のごみや不法投棄、違法駐車、など身近ではあるが行政や警察などだけでは解決できない地域課題になくてはならない地域の住民の協力・問題解決住民パワーだ。 肌理の細かい地域課題への対応には行政だけでは解決しないし、行政コストをそこまで掛けられない事情もある。 しかし、最近の自治会などの役員はなり手がいないし高齢化していて地域を引っ張っていく力もない地域が多い。 この地縁組織や最近ではNPOの活躍も阪神大震災後は活発になっているが、いろんな地域団体がネットワークを結んで地域課題の解決に取り組んでもらうため各自治体では、地域力強化に取り組む仕組みづくりに力を入れている。 実は私の勤務している神戸市市民参画推進局はこの施策を推進するセクションなのだ。 協働と参画の街づくりと言っている。 神戸市では昭和50年代からコミュニティづくりには力を入れてきた背景があるし、人口150万都市でヒューマンスケールな街なのでもともと地域組織が活発な街ではある。それが、あの地震の際には力を発揮したのだ。 しかし、役員の高齢化などのため地域組織の力は落ちてきており、てこ入れが必須となってきている。 神戸市では、平成16年に神戸市民の地域活動の推進に関する条例を設置して、地域課題を市民・行政・事業者が共有して解決を図っていこうとする地域には行政が組織・財政などの総合的な支援をするパートナーシップ協定を結んで支援をしていこうとしている。

しかし、地域力は詰まるところ地域の人材に行き着く。 ボランティア活動に対する意識がどうしても薄い日本では並大抵の努力ではない。 やはり現役が企業コミュニティの中で生きてきた日本。われわれの世代には地域への貢献という感覚に乏しい面があるのは否めない。 しかし、最近思うところがある。 私も団塊世代の最後であるが、モーレツからビューティフルにと言われながら美しく生きて来れなかった世代である。安部総理の美しい国日本という言葉にどうも違和感を感じてしまう世代である。 ワークライフバランスと言う言葉があるが仕事と生活を調和させる生き方である。 欧米先進国ではグローバルスタンダードになっている生き方である。 人生のある時期NPOやNGOに参加して又職場に戻る事が出来る社会になっているから出来ることかもしれないが、ダイバーシティな会社でないとこれからは優秀な人材が取れなくなる労働人口減少時代であるから、日本もいずれそのような社会にならないと国際競争についていけなくなるのだろう。 仕事だけで家庭も地域も省みなかった我々世代。(私は違うという方にはお許しを・・・) 本の高度経済成長を支えてきた自負と裏腹に、親としての責任や地域での貢献には自信が持てない世代。 青少年の問題、高齢者介護の問題、地域防犯・防災の問題等社会の課題に対して自分の問題として関わっていく責任があるのかも知れないと思うようになってきた。 団塊の世代の地域デビューと言う言葉があるが、多いに歓迎すべきことだと思う。 そして、本当は企業においても、地域貢献を多様な能力開発の実績として評価する先進国のような成熟した国に日本もなってきたら、親父と子供の会話も当たり前で、地域での挨拶も当たり前で、もっともっと人と人の絆がしっかりとした社会になるのだろう。

ボランティアの話で自分の生き方の反省になりましたが、ワークライフバランスのとれた生き方が出来るようになるには、やはり自分自身の意識改革から始まるのでしょう。

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2024年6月5日

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