リレーエッセー 第75弾

留学報告書 3月 〜同窓生との交流〜

田中 礼佳

「今年のロシアの天気はおかしい」とロシア人が口々に言うように、3月はまた冬に逆戻りのような雪のふぶく日々が続きました。どうやら例年に比べて雪の降る期間が長いようです。 生まれてからずっと大阪の市内で育った私にとって、こちらに来た当初は雪が本当に珍しく、ましてや膝まで埋まるほどのものなんてスキー場でも見たことが無かった風景で、毎日わくわくしていました。が、今となっては本当にужас!(最悪!)としか言いようがありません。 雪国で暮らしている人々はすごいなあ・・と感心してしまいます。


それでも暦の上では立派な春のようで、3月中旬にはマースリニッツァという春の訪れを祝う期間がありました。 このお祭りはかなり古く、ルーシの時代から行われているそうです。 マースリニッツァは一週間続き、一日ごとに行うべきことが定められています。 例えばこのマースリニッツァの期間は毎日ブリヌイというロシア式パンケーキを食べるのですが、ある日は旦那が妻の母親の元に行ってブリヌイを焼かなければいけない。 またある日は逆に義母が娘の夫の元に・・というようにです。 勿論現在はここまで厳格なしきたりを行っている人は見なかったですが。 最終日には冬の象徴である人形を燃やします。 モスクワ中心にあるゴーリキー公園というところでマースリニッツァのお祭りがやっていたので、日本人留学生とロシア人、韓国人など総勢30人ほどで参加しました。 勿論ブリヌイ屋さんが立ち並び、コンサートが行われ、人形を持った子供たちがたくさんいました。 日本や他の国では全く聞いたことがないお祭りで、私もこちらに来るまで知りませんでした。 長かった冬の終わりと待ち望んだ春の訪れを祝うこの行事はとても楽しかったです。


順序は前後してしまいますが、3月8日は国際婦人デーでした。 この日は国の祝日で学校や仕事はお休みになります。 名前の通り「女の日」であり、ロシアの花屋さんが一年で一番忙しくなる日です。 男性は妻や彼女はもちろん、友達や同僚などにも花を贈るのが通例のようです。 バスに乗っていると70近いのでは?と思われるおばあさん達もみな花を片手に持っていました。 女性にとっては素敵な日ですが、男性には大変な日なのでしょうね。 かわいそうなのは私のクラス唯一の中国人の男の子でした。 男1人に対して先生を含めて女性は5人・・冗談で「くれるよね?」とみんなで言っていたのですが、祝日明けの授業で彼は本当に全員にバラの花束をプレゼントしてくれました。 「朝は金持ちだったけど、今は貧乏だ・・」と彼は笑っていましたが。 女性でよかったなあと思います・・。 本当に嬉しかったです! クラスのみんなで何かお返しをしようと思います。


3月25日にはモスクワ外大会がありました。 今回は学生4人、社会人のOBさん方6人と少人数でしたが、外大の留学の現状や問題点、外大生がすべきこと、OBがすべきこと、会のあり方などいろいろなことを語り合い、とても熱い会になりました。 こんなに一生懸命神戸市外大のことを、卒業したあとも考えてくださるOBさんたちが居て本当に幸せだなあと思いました。 「ただの楽しい会じゃ意味ないよね。」というあるOBさんのお言葉がすごく印象に残っています。 今モスクワでこんな風に社会人の、そして外大出身の方々とお話できることを当たり前にしてはいけないなと改めて思います。 このようないいチャンスを無駄にしないように、あと少しの留学生活でもっと吸収していきたいです。

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