七十周年の新たな旅立ち
木村 榮一(学15H)
神戸市外国語大学は、終戦後間もなく、当時の中井・神戸市長が文字通り老骨に鞭打って 何度となく中央官庁に足を運び、ようやく設置にこぎつけました。 中井市長はおそらく、戦後の日本を見据え、ゆくゆくは貿易立国を目指さざるを得ない。 そして、そのために神戸市はもちろん、国家を国際社会に対応できるように発展・成長させる必要があり、 その礎として外国語大学を設置すべしと考えて、粉骨砕身されたにちがいありません。
その熱意が認められて、1946年に〈神戸市立外事専門学校〉 として発足した母校は、1949年に新制大学として認可され、 英米学科、ロシア学科、中国学科の三学科からなる〈神戸市外国語大学〉に生まれ変わります。 以後、母校・神戸市外国語大学の成長・発展を年表で簡単にたどってみますと、
1953年。1950年に設置された短期大学部をもとに新たに第二部英米学科として再編。
1962年。イスパニア学科新設。
1967年。大学院外国語学研究科修士課程を設置。
1986年。現在の神戸研究学園都市に全学移転。
1987年。学部に国際関係学科新設。
1996年。大学院外国語学研究科博士課程〈文化交流専攻〉を設置。
2007年。公立大学法人に移行。
以上の沿革を見ると、母校が時代の要請に対応して順調に成長してきたことがわかります。 また、年表からも明らかなように、 1967年以降ほぼ10年周期で変革がおこなわれ、そのたびに新しい一歩を踏み出しています。
そして、来年は母校である神戸市外国語大学がいよいよ創立七十周年を迎えることになり、 大学はその節目に種々の事業計画を立て、さらなる新たな一歩を踏み出そうとしています。 楠ヶ丘会としては、そうした事業の一環に多少とも協力できればと現在募金活動をおこなっておりますが、 思ったように募金が集まらず苦闘しております。
かつて古代ギリシアの哲学者エピクロスは「過ぎた日の善いものごとを忘れ去れば、 その人は、まさしくその日に、老いぼれる」 (『エピクロス―教説と手紙』出隆、岩崎充胤訳。岩波文庫)と言っています。 今回の募金活動を通して同窓生の皆さんがかつての学び舎に思いを馳せ、 「過ぎた日の善いものごとを」思い出していただければ、それこそこの上ない若返りの妙薬となるでしょう。
また、「ふるさと募金」を活用していただければ、 募金の際の実際的な負担は驚くほど軽減されます。手続きは多少面倒でも、 心が「老いぼれ」ないための秘薬としてぜひとも今回の募金にご協力いただけますようお願いいたします。