20年ぶりの学生食堂にて
樫原 令子(学46E)
第77弾のリレーエッセーで「高校の同窓会の幹事になった」と書いたが、おととしのお正月に開催、なんとか無事に成功させることができた。
同級生たちとの連絡、行方不明の同級生の捜索などにはもっぱらFacebookを使用し、 実名登録が原則であるFacebookに登録するのには抵抗があるという同級生のために、 今回の同窓会のためだけ、アクセスできるのは同級生だけ、のSNSを、ITに詳しい幹事にレンタルで作成してもらい、 並行して情報提供、更新を行った。その結果、学年の半数近い200名以上の参加を得ることができたが、 「気の合う仲間と少人数でならまだしも、学年全員で会うのは抵抗がある」 「何も成長していないまま年だけ重ねてしまった自分の姿を見られるのは怖い」など、出席を躊躇する人の声も多く聞かれ、 そういった「心の壁」のようなものをいかに崩してもらうか、幹事一同悩んだりもした。
楠ケ丘会はどうだろうか。総会、支部総会、その他交流会に思うように参加者が集まらず、頭を悩ませている役員の方も多いことと思う。 まず周知すること。そして時間的・物理的な理由以外の理由で出席をためらう人に足を運んでもらう工夫をすること。 この二本柱をこれからも充実したものにしていかなければならない。
数年前までmixiをよく利用していたのだが、そこでつながった神戸外大同窓生との会話の中では、 「ウィメンズくらぶなるものの存在をまったく知らなかった」、「九州支部なんてあるのだろうか。ないんだろうなあ」(福岡支部があります!)、 「しばらく会費を払わなかったら、会誌が来なくなった」、というような声が聞かれた。 「心の壁」以前の問題で、そもそも楠ケ丘会の活動を「知らない」のである。 仕事に家庭に活躍する同窓生の意識の中で神戸外大の存在が日に日に薄れていくのは仕方のないことなのかもしれないが、 ふと、母校のことを思い出し、足を運んでみたいという気になることもあるだろう。その時に、しっかりした受け皿がなければならない。 ホームページや「楠ケ丘」、「ウィメンズくらぶニュース」といった媒体、そして交流会会場……。
母校への思いは人それぞれとはいえ、一人として再会したい人がいない、現在の母校がどうなっているのかまったく知りたくない、 という人はいないのではないかと思う。「いつも気にしているわけではないけれど、ふと思い出す時がある」というくらいの人のために、 いつでもお近くの支部で待っていますよ、あるいはインターネット上で情報を発信していますよ、という態勢でいる必要がある。 「なんかやってるんだろうけれど、私にはもう関係ない」ではなく、「関係ないと思っていたけれど、やっぱり母校なんだから、なんらかの形でかかわりたい」 と思ってくれる人が一人でも増えれば、この先いろいろなことがやりやすくなってくると思う。 逆に、知らない、興味がないという人が増え続ければ、楠ケ丘会の存続にも関わってくるだろう。
神戸外大の知名度をもっと上げるべきだとの声が最近よく上がっている。偏差値も高く、卒業生も優秀であるはずなのに、なぜか一般的な知名度はそう高くない。 それはひとえに発信力に問題があるのだと。楠ケ丘会にも同じことがいえる。支部総会、クラブ同窓会などのお知らせを早く効果的に発信したり、 同窓生の交流・意見交換の場をもっと増やしたりするためには、月一度のこのホームページの更新だけでは遅いのではないか。 写真をたくさん載せるのは視覚的には効果が高いが、それよりも文章だけでもいいからもっと更新頻度を上げる、 ブログやツイッターなどで気軽に情報を提供していく、ユーザーとも気軽にコメントし合える環境を作ることの方が急務かと思う。
「同窓会事務局なんて毎年毎年、同じ業務をやっていればいいんでしょう?」と言う人もいる。しかし時代も変われば、卒業生の気質も世代ごとに違ってくる。 そういう変化をとらえ、変えるべき部分はそのつど変え、常に新鮮な、「動いている」組織であることをアピールしていかなければならない。 毎年毎年同じことの繰り返しだなんてとんでもない。ホームページも各種行事も、より読みやすいように、参加しやすいように、関係者全員で意見交換しあい、 マイナーチェンジを重ねていく必要がある。
リクルートスーツ姿で笑いさざめく学生たちが、巣立ってからはどれくらいの頻度でキャンパスを訪れてくれるのだろうか。 毎年とはいわないまでも、せめて今年のような節目の年には気軽に顔を出すような同窓生になってもらいたいものだなあと、 20年ぶりの学生食堂でチーズ入りササミフライを食べながら思うのである。