リレーエッセー 第22弾

神戸外大力とは何ぞや

前 岡山支部長 能登原 昭夫(学2C)

昨今、巷には「○○力」、なんていうのが氾濫しているから、「神戸外大力」なんていうのもあっていいんじゃないか。 '06、'07と二年連続して県北で英語セミナーを企画、実施した時、私はこれを錦の御旗にした。 「神戸外大力を発揮しよう」と。

岡山支部では、これまで年一回の総会を岡山駅前のホテルで開いていた。 総会とは名ばかりで、集まる者せいぜい10余名。「年一回集って、本部からの母校の様子を聞き、飲んで食べて近況報告をして、ハイそれだけよ」で終っていた。 支部長、副支部長、事務局(兼会計)なる係りはいるが、はっきり明文化した会則はない。 仲良しクラブのようなもので、出席者も次第に固定化し、老齢化し、若い世代は寄りつかなくなっていた。 本部からの名簿では、200名を越す同窓生が登録されているが、総会の案内をしても、返信があるのが70名ばかり。 そのほとんどは欠席通知。 これでは何もできません、と支部長の悩みは大きかった。

ひと昔前のことだが、前支部長大月順一郎氏(学12P・倉敷市議)が健在であった頃、倉敷市の国際化行事のことで、楠ヶ丘岡山支部会として何かできないか、と相談があった。 私はそれまで多忙を理由に、支部会の活動は熱心でなかったが、そのときは何故かすぐ呼応して、何人かに呼びかけ、みんなで「国際童謡フェスタ」をやることになった。 倉敷の大原美術館横の庭園を借りて、各国の童謡を紹介、それを原語で歌って、観光客や地域の人に好評だった。 その時、別に特別の仕掛けや装置をしたわけでもなく、集って練習とか特訓をした覚えもない。 同窓生の日頃から持っている特性と感性を表現しただけに過ぎなかった。 ただ私はこのとき、外大卒業生が集まれば、結構何かできるんだ、ということを知った。 支部として行事をやったのは、このときが始めてであり、終りであった。 その後、大月氏の無念の死によってリーダーシップは無くなり、長い間支部活動の灯は消えていた。

やがて私がやむなく支部長を引き受けることになった。 21世紀に入り、グロバリゼイションがますます進展するにつれ、私は今こそ外大卒業生の出番だと強く認識するようになった。 自らも地元山陽学園大学、国際文化学部の創設に深くかかわるようになった。 think globally, act locally という時代となった。 そこで、毎年の支部総会では、二人の同窓生にお願いしてスピーチを始めた。 テーマは、「神戸外大で学んだこと、その後の外大卒のブランドで、どういう人生を送ってきたか」とした。 これなら、卒業年次、学科、II部にかかわらず共通項があり、当日の酒のサカナになり、会も盛り上がると思った。 事実回を重ねるにつれ興味ある話が展開された。それぞれの分野で、それぞれの時代背景のもと、神戸外大卒業生として懸命な生き方や苦労話が語られた。 私は、外大卒はやはり一匹狼が多くて群がらないこと、その中にこそ「神戸外大力」が潜んでいるのを感じていた。 しかし、総会の出席者は、以前より増えることは無かった。

何かもう一つ起爆剤が欲しいと思っていた矢先、鈴木昌憲氏(II22ED)が私学美作高の校長に昇任され、続いて産賀俊治氏(学20EC)が県立津山東高の教頭として戻ってこられた。 今こそチャンスとばかり、私はお二人に津山市での英語セミナーを提案した。 県北には同窓生が多く、しかも英語教員として活躍している。 お二人は多忙な公務のかたわら、連絡をとり合い、強力な実行委員会を立ち上げた。 美作高の校長室をお借りして数回会合を重ね、相互に分担しながら計画案を練り、数件を解決し、短期間に「'06神戸外大英語セミナーin津山」の実施案をまとめ、平成18年4月29日(土)に実施した。 当日は雨模様で参加者数が危ぶまれたが、途中で会場を拡げるほどの大盛況であった。 本部からは須藤淳会長、大学からは野村和宏教授の絶大な協力をいただいた。 岡山の県北で、「神戸外大」の名を冠した行事が行われたのは、これが初めてでした。 (詳細は会誌『楠ヶ丘』No.45参照)

勢いを得て'07年には、同じ体制でテーマを変え、目下関心の深い「小学校英語活動」を取り上げ、大学の横田玲子准教授にご指導いただいた。 市教委の後援もあり、小学校の先生方の参加が多く、地域社会の教育の何上に貢献しました。 このように二年連続してセミナーを実施して、県北に母校の名を轟かせることができ、かつ同窓会本部および大学と支部との関係に、新しいモデルを提供したものと喜んでいます。 (詳細は会誌『楠ヶ丘』No.46参照) 勿論、総会をセミナー終了後に津山市のホテルで開き、例年にない多数の参加を得て、大いに盛り上がりました。

ところで、これらの行事や諸活動を通して、私はいっそう強く「神戸外大力」なるものを感じています。 単なる母校愛だけではない何かがあると。 いったい何でしょうか。 多分野、多方面でご活躍の同窓生のみなさんにご意見を伺いたいと思います。 母校創立の理念に立ち帰り、大学として50有余念の歴史的発展と実績をふまえ、輝かしい学問的蓄積や多彩な人材養成を評価し、さらに法人化した21世紀の母校の姿を求めて、「神戸外大力とは何ぞや」を考えてみたい。 できれば、同窓会主催のシンポジウムなど如何でしょうか。

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2024年6月5日

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